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2021/01/11

糀と酵素について

甘酒のことをネットで調べていたら「生酵素」とか「酵素不足」とかいう、ちょっとあやしげなものがたくさん出てきましたので、少々長くなりますが、私の知っている範囲で解説したいと思います。あくまでも、私個人の意見です。

市販されている糀の一例
甘酒はお米と糀を使って作ります。糀には数多くの酵素が含まれており、それによってお米のでんぷんやタンパク質を糖分やアミノ酸に分解するのです。甘酒の場合、この酵素がうまく働く温度が50~60℃です。温度が低いと酵素の働きが低下します。また温度が高すぎると酵素が分解されてしまって、やはり働かなくなります。(厳密には「分解」されるのではなく、酵素の立体構造が不可逆的に変化してしまうのですが、分かりやすく「分解」と書きました)

それでは「酵素」とは何でしょうか?酵素とは生き物ではありません。決められた物質と決められた反応を起こすことのできる特殊なタンパク質です。生き物ではありませんから「生酵素」と「生」を付ける意味もありません。人間の体内には約2千種類の酵素があると言われており、それぞれ決められた反応を起こして生体を維持しています。例えば、唾液には「アミラーゼ」というでんぷんを分解する酵素があり、そのままでは人間が吸収できないでんぷんを吸収できるブドウ糖に分解してくれるのです。

酵素は体内の必要な場所で必要な時に必要なだけ作られるので、酵素不足になることはありません。ましてや「疲れやすい」=「酵素不足」なんてことはあり得ません。また酵素はタンパク質ですので、例えサプリで経口摂取したとしても、他のタンパク質と同様に消化されてアミノ酸に分解されてしまい、酵素のまま体内に取り込まれることは絶対にあり得ません。「酵素」のサプリというと何か特別なもののようですが、タンパク質がほんの少し入っているだけです。

それなのに、なぜ「酵素不足」とか言う言葉が広まっているかというと、イギリスの E. ハウエル氏によって1980年代に提唱された「酵素栄養学」で「体内で一生の間に作られる酵素の量は限りがあるので食べ物から補う必要がある」と言ったので、それに便乗して色々な会社がビジネスに利用しているからなのです。ですが「酵素栄養学」の正しさを科学的に証明する文献等は私の知る限りではありません。アメリカの食品医薬品局は2003年に、酵素のサプリメントの販売者に対し「酵素欠乏症」には科学的根拠がないとして警告を行っています。

また「生甘酒」という言葉も聞きますが、これは加熱していない甘酒ということのようです。「生甘酒」や「酵素が生きた甘酒」と聞くとより健康に良さそうな感じがしますが、それはイメージに過ぎません。甘酒は酵素が健康への何かの効果があるのではなく、酵素が作り出した栄養素が効果があるのです。従って出来上がった甘酒を加熱して酵素を分解させてしまっても甘酒の効果は変わりません。むしろ雑菌を死滅させて保存性を向上させます。


これを書くに当たり、主に下記のページを参考にさせてもらいました。

Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B5%E7%B4%A0
アグクル:https://agcl528.com/fermentation0523/
マルコメ発酵美食:https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/20190509/10969/

2021/01/10

ホット甘酒

湯呑茶碗についだホット甘酒の写真
昨年8月に、夏に飲む「冷やし甘酒」がおいしいと書きましたが、冬に飲む熱々の甘酒も、もちろんおいしいです。

相変わらず、甘酒メーカーで週一くらいのペースで甘酒を作っています。ただ、昨年11月ころから甘みが薄く、ご飯の粒々も残り気味で、かつ出来上がりの表面が黄変するようになってきました。設定温度は60℃で変えていないのですが、どうも温度が高いように感じましたので測ってみたら70~72℃となっていました。やはり温度が高くて糀が失活して十分に糖化が進んでいなかったようです。

メーカーに問い合わせたところ「外気温が低くなると加熱が強くなるので、温度が高くなる傾向にはあるが、60℃設定で72℃というのは高すぎる。交換しますので、それで様子を見てください 」との回答でした。すぐに交換の新品が届きましたので、早速使って温度を測ってみたところ、60℃設定で65~67℃でした。新品でこれですので、故障ではなくこのような性能なのでしょう。ということで、設定を5℃下げて55℃にして作ってみました。実測で59~63℃で、とりあえずまたおいしい甘酒ができました。次はあと2~3℃下げて作ってみようと思っています。


私も世話人の一人になっている地元の愛宕神社では、毎年初詣の人のために熱々の甘酒を無料で配っていましたが、今年はコロナ感染防止のためにこれも中止となってしまいました。栃木県も感染者が急速に増えており、緊急事態宣言の対象区域に加えるように国に要請することを決めたようです。はやく終息することを祈ります。

2020/09/29

アップルパイ

アップルパイを作ってみました
家内が「紅玉(こうぎょく)」リンゴをいただきましたので、アップルパイを作ってみました。

「紅玉」は酸味が強く、そのまま食べるには「ふじ」や「秋映」や「ジョナゴールド」などのほうがおいしいですが、製菓用としてはこれに敵うリンゴはありません。そのまま食べておいしいリンゴは酸味が少なく、アップルパイなどにしたときは味がぼけてしまうので、レモン果汁を加えなければなりませんが、どうしても人工的な感じの味になってしまいます。しかし「紅玉」は酸味が強く、香りも良いので、レモン果汁を加えなくてもとてもおいしく出来上がります。

「紅玉」は昭和30年代頃は「国光(こっこう)」と人気を二分してたくさん作られていたのですが、その後新品種が続々と登場するに従い、生産量が激減して一時はなかなか手に入らない状態になってしまいました。しかし最近は製菓用にはやはり「紅玉」が一番ということで復活して、スーパーなどでも買えるようになってきました。うれしい限りです。

私が子供の頃は「こうぎょく」ではなく「べにだま」と呼んでいました。売られていたリンゴは「国光」と「紅玉」、それに高級品だった甘い「印度リンゴ」の3種類だけでした。今はスーパーでも10種類以上売られています。みんなそれぞれにおいしいですが、私は中でも「秋映」と「高徳」が好きです。

2020/09/17

栗の渋皮煮

今年も栗の渋皮煮を作りました
栗が出回ってきたので、今年も栗の渋皮煮を作りました。家内の知り合いに栗の渋皮煮をとても上手に作る方がいて、その方に作り方を教えていただいたのがきっかけで、それから甘いもの好きな私が毎年作っています。

今年はスーパーから買ってきた時に、鬼皮が乾燥したような感じだったので心配しましたが、案の定、出来上がりが堅めになってしまいました。まあ、それでも十分おいしく食べていますけど、ちょっと不本意です。

栗の渋皮煮のおいしさは、もちろん栗の種類に左右されますが、それ以上に影響があるのが新鮮さです。極端な言い方をすれば、干し栗状態になったものをいくら丁寧に作っても柔らかくておいしい渋皮煮はできません。乾燥したものは渋皮も堅くなってしまいます。渋皮煮は手間がかかりますが、その分(素材が良ければ)おいしいものができますので、またどこかで探してきて、今シーズンもあと一度くらいは作ろうと思っています。
 

2020/08/19

冷やし甘酒

冷やし甘酒の写真
甘酒は寒い時に熱々にしてこたつの中で飲むのも美味しいですが、元々は夏の飲み物で、俳句でも夏の季語となっています。栄養豊富で夏バテの防止にもなると言われています。

我が家では以前、マルチ調理機能の付いている電気釜を使っており、これが甘酒の発酵にちょうど良い温度での保温が出来ましたので良く造っていました。しかしこの電気釜が故障して新しいのに買い換えましたところ、高級すぎて保温の温度を状況に合わせて色々と変化させてくれますので、麹がうまく発酵してくれず、満足できる甘さのものが出来なかったのでやめてしまいました。

でもやはり甘酒を造りたくて、昨年「甘酒も造れるヨーグルトメーカー」というのを通販で買ったのですが、最高設定温度が55℃となっているのに、実測では52℃くらいまでしか上がらず、残念ながら十分に甘くなりませんでした。麹の発酵に適切な温度は50℃~60℃と言われていますが、実際は52℃では低すぎて、時間をかけても糖化が十分に進まないようです。

という訳で、今年は少し値段は高かったですが最高設定温度が65℃の「甘酒メーカー」を買いまして、再チャレンジしました。いろいろと温度を変えて試してみましたが、設定温度60℃(実測:ヒーターに近い壁面部で61℃、中心部で60℃)で10時間発酵させますとそのままでは甘すぎるくらいの甘酒ができました。発酵時間は5時間でも十分甘くなるのですが、お米のつぶつぶ感が残りましたので、10時間発酵させてつぶつぶ感を少なくしています。使うお米は残ったご飯でも大丈夫ですが、長時間保温しておいたご飯を使うと少しひね香が出ますので、一番良いのは炊き立てのお粥を60℃くらいまで冷ましたものです。とても甘いので、家内は牛乳で割って、私は水と氷で割って飲んでいます。炭酸水で割ると美味しいという話があったので試してみましたが、個人的にはイマイチでした。ここのところ毎日飲んでいますので、ちょっと血糖値が心配です。