運転免許証更新の講習を受けてきました。今回初めて「認知機能検査」を受けてきました。
法改定により今年の5月13日から講習の内容が変更になりました。また、過去3年以内に信号無視や速度超過などの一定の違反をした人は「運転技能検査」も受けなければならなくなりましたが、私は幸いにも違反がなかったので「認知機能検査」と「高齢者講習」だけで済みました。
今回新しくなった「新認知機能検査」の流れを簡単に説明します。改定されたとは言え、従来と大きな違いはありません。
1. 検査を受ける教室で待機しています。教室の前にある黒板には最後の検査で問われる今日の日付・曜日が貼ってあります。開始時刻(私の場合は9時でした)になると試験員が入ってきて回答用紙を配ります。試験員からの説明の後、解答用紙の表に名前と生年月日を記入します。
2. その後、4つのイラストが描かれた絵を、覚えるヒント(例えば「この中に楽器があります。それは何ですか?オルガンですね」などと説明があります)とともに約1分間見せられます。これを4枚見せられます。合計16のイラストです。絵は4パターンあり、この中のどれかが出題されます。私の時はパターンCでした。
3. 次に下の回答用紙に指示のあった2つの数字(例えば3と8)を斜線で消していきます。時間は30秒です。続いて別の3つの数字(例えば2と5と9)が指示されますのでそれも斜線で消して行きます。時間は同じく30秒です。
実は、これは次の試験(イラストを思い出して書く)に移るまでの時間を取るためのもので、採点はされず点数には全く関係ありません。
4. 次に下の回答用紙に、先ほど見せられた16のイラストを思い出して、出来るだけたくさん記入します。一つの枠に2つ以上の答えを書くと不正解になります。回答時間は3分間です。
5. 次は思い出すためのヒントが書かれた回答用紙に記入します。回答時間は同じく3分間です。
6. 最後の検査です。下の回答用紙に記入します。回答時間は2分間です。教室の前の黒板に今日の日付・曜日が貼ってありますが、この検査の前に隠されます。「今は何時何分ですか?」は現在の時刻です。ここまででだいたい検査開始から30分たっているはずですので、検査開始が9時でしたら9時30分頃のはずです。前後30分以上ずれると不正解となります。
さて、気になる採点ですが、配点は全て警察庁のホームページで公表されています。
イラストを思い出す検査は、ヒントなしで正解したものは2点、ヒントをもらって正解したものは1点です。イラストは16ありますので、ヒントなしで全問正解なら32点です。
最後の問題は、「年」が正解なら5点、「月」が正解なら4点、「日」が正解なら3点、「曜日」が正解なら2点、「時刻」が正解なら1点で、全問正解なら15点となります。
イラストを思い出す検査の点数をA、日時の検査の点数をBとすると
総合点数=2.499×A+1.336×B
で計算して36点以上なら『認知症のおそれなし』と判断されます。
何でこんな変な式を使うのかわかりませんが、計算すると一応満点は100点になります。概算で計算すると、日時で全問正解すると総合点数は20点になりますので、合格するには総合点数であと16点、すなわちイラスト思い出しで7点取れば良いことになります。16のイラストのうち、ヒントなしで4つ正解すれば合格です。改定前は受講者に点数が知らされたのですが、改定後は点数は教えてもらえなくなって、『認知症のおそれあり』か『なし』かが通知されるだけです。
『認知症のおそれなし』と判定されると「高齢者講習」に進むことができます。
高齢者が運転する時の注意すべき点などのDVDを見て、機械で視力を測定し、その後実際に車に乗って個人指導を受けます。実車運転は試験ではないので合格・不合格はありません。(一定の違反をした人は「運転技能検査」ですので、これは採点されて、70点未満の場合は不合格となります)
実車指導では、以前はあった「バック車庫入れ」がなくなって、代わりに「段差乗り上げ」が入っていました。10cmくらいの段差の手前で止まって、それからアクセルをちょっと踏んで前進で乗り上げ、すぐにブレーキを踏んで止まります。私の普段乗っている車は低回転でもトルクの大きいディーゼルエンジンですので、このような段差乗り上げはとても楽です。そのような車に慣れている私には、教習所の車のアクセル加減がちょっと難しかったです。
「認知機能検査」については警察庁のホームページに検査に使うイラストや採点方法等が書かれていますので、詳しく知りたい方は下記のURLをクリックしてください。イラストを事前に見て覚えてしまうと検査の意味がなさそうですが、事前に見て覚えられるくらいなら認知機能に問題なしということなのでしょう。
「高齢者による事故が多いので高齢者は免許を返納すべし」という声を聞きますが、下のURLの記事によると、警視庁の統計では実際は高齢者の事故比率は多くなく、交通事故を起こしているのは圧倒的に20~30代が多いとのことです。高齢ドライバーによる事故はインパクトが大きく、ニュースに取り上げられやすいために‟高齢ドライバー=危険”という印象になっているようです。また高齢ドライバーが免許を返納すると、6年後の要介護率が2.16倍も高くなるという筑波大教授の研究結果もあります。運転をやめたことで家に引きこもり、活動意欲が低下することで認知症が進行する原因になるようです。
ただ年齢とともに運転に必要な注意力、判断力、空間認識力、情報処理能力や反応能力が落ちてくるのは事実ですので、免許更新後は今まで以上に気をつけて運転しようと思います。