2024/09/10

虫の音:日本人以外には雑音?

9月になってもまだまだ暑い日が続いていますが、夜は確実に秋の気配となり、我が家の庭は虫の音がにぎやかになってきています。

虫の音で思い出すのは、私が昔アメリカのテネシー州に単身赴任していた時、子どもの夏休みにみんなでアメリカに来た時のことです。当時のアメリカ人の工場長が私の家族全員を夕食に招待してくれました。アメリカでも虫がたくさん鳴いています。家内が工場長の奥さんに「虫の音がきれいですね」と言ったら、即座に「あれはノイズ(騒音)よ!」と返されました。虫の音は工場長の奥さんには騒音としか感じられなかったようです。

外国人が虫の音を騒音と感じる件については東京医科歯科大学の角田忠信教授が本を出版しておりまして、その中で日本人は虫の音を言語脳である左脳で処理し、西洋人は音楽脳である右脳で処理をするので、日本人は虫の音を「虫の声」として認識し、西洋人は雑音として認識すると述べています。

ただしこれは日本人と西洋人の違いではなく、西洋人でも日本語を母国語として育った人は虫の音を認識でき、日本人でも外国で日本語以外を母国語として育つと虫の音が認識できないそうです。ですのでこれは人種による違いではなく育った言語の違いによるものだと言っています。すなわち「日本人の脳」ではなく「日本語の脳」と言うことでしょう。日本では小さい時からたくさんのオノマトペ(擬声語・擬音語や擬態語)を学びます。これだけ豊富なオノマトペを持っている言語は他には無いそうです。実際虫の音も小さい頃から童謡「虫の声」で

    あれ松虫が鳴いている
    チンチロ チンチロ チンチロリン
    あれ 鈴虫も鳴き出した
    リン リン リン リン リーン リン
    秋の夜長を鳴きとおす
    ああ おもしろい 虫の声

と習っています。古く万葉集にも虫の音を歌った歌がたくさんありますし、源氏物語にも鳴く虫を楽しむ様子が描かれています。

お断りしておきますと、この角田教授の見解については、評価方法も含めて、複数の脳の専門家から反対意見が出されており、専門家からはほとんど支持されておりません。また西欧諸国や中国などにも虫の鳴き声を楽しむ文化があります。まあ、上記の見解は単なる話のネタとして楽しんでください。詳しくは下記を参照ください。


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